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これまでご説明申し上げましたように、底地(貸宅地)は収益性が低いことに加えて、流動性が低く、いざというときに換金処分できません。しかしながら相続が発生した場合、底地は路線価によって評価され、相続税が課されてしまいます。更地や駐車場の場合は売却して相続税を納めることも可能ですが、底地の場合は借地人に購入意欲や資力がない場合は換金できません。このような場合、相続税の物納という方法によって底地を現金の代わりに納税財源とすることが可能となります。しかし物納には非常に多くの厳しい要件があり、借地人の協力が必要不可欠であることから、早期に物納できる状態に整備する必要があります。
○底地を物納するための主な要件
・実測面積、登記簿面積、契約面積が一致しており借地範囲に関する合意が書面でなされていること
・借地人が明確であること(相続などにより契約者と登記名義が異なる場合は別途書面が必要)
・地代の支払いが遅延していないこと
・越境物があった場合、将来撤去する旨の確認が書面で取れること
・工作物(ブロック塀)などの所有者が明確であること
・必要書類が相続税申告時までに提出されること*申請により提出期限の延長が3ヵ月ごと最長1年可能(契約書、測量図、借地範囲に関する確認書、境界確認書など)
借地の多くは契約面積が実測面積、登記簿面積と一致していない場合がほとんどであり、借地境も明確ではありません。契約面積と実測面積と大きく差異が生じる場合は、地代や更新料を巡ってトラブルが生じる場合もあり、物納を検討している場合も協力していただけるかどうかわかりません。また書類の提出期限が定められているため、土地所有者が健在なうちに整備を進める必要があります。
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